接触

文学、本、映画、絵画の話をしようと思います。あとは日記ですね

愚行を犯すという自覚

僕は山口達也を批判する気になれない。だからといってそれを、ツイッターで口にする気にもなれない。 そして、僕はいつだって弱者の味方だなんて、つまらない常識人の嘘をつく気は、まったくない。あまりに俗っぽい動機を告白したところで、さっほく本題に入…

不可能

余るほどお金がたくさんあって、背がすらりと高くて、顔も肌もまるで綺麗で、声には透き通るような凛々しさがあり、疲労の色もまるでない若さだけが、この世界で唯一正しいかのように思えて仕方がない。というまるで19世紀フランス文学の呪いが未だに解けて…

時計屋

遅刻魔の汚名を返上するべく今日こそはと、移動時間を15分ほど多く見積もったまま玄関のドアノブを握る。18時45分に到着するにはあまりにも早く家を出すぎたような気がして、すべての遅刻魔を常習的な遅刻へと駆り立てるあの「不気味さ」に似た、時間通りで…

わかりうるという安心から距離を置くために

「今日の飲み会では自分の話ばっかりしちゃったな、どうして落ち着いて人の話を聞けなかったんだろう」とか「自分の話を理解してもらうためにわざわざ用意したはずの例え話なのに『よくわかった』っていう得意げな聞き手の顔を見ると、なぜかモヤモヤしてし…

帰り道

友達を誘って渋谷で映画を観た。その友達というのはシリア人で、僕はたまたま食事会で彼と知り合ったのだけど、映画の話やらでわりと意気投合したり、言葉を慎重に選びながら考えたことを伝えようとしてくれるようないいやつで、僕はふと思い立ち、一緒に映…

自分に生きてる意味があるのかって問うんじゃなくて、どこでどう自分を使うのかって問うこと。

何が良いのかは本人が決められるようにしてあげろよな

確か夜6時ごろにゆっくりと右に傾いた自転車が右隣の自転車に寄りかかって、結果3つの自転車が地面に倒れた。それで車輪や金属の衝突やらが立てた音の数々にひっぱられるみたいに左後ろを振り向いてしまったのだった。 セブンイレブンの前で鳴り響いた音の塊…

電柱

(ツイッターとかSNSやってるとなにか発信しないと自分が消えちゃうような気がしてなんの意味もないことポストしちゃうけど本当はそんな不安感じないくらいリアルの交友関係や孤独の中で言葉を練るのに力入れなくちゃいけないんだろうな、でももう今日は頭が…

あしたは朝日で目を醒ましたい

今日はひさしぶりに一日中お腹や頭の中がドブねずみ色のどんよりした粘着物で凝り固まったみたいな気分だった。パイナップル食べ過ぎたときみたいな少しピリピリした感じが頭には溜まってて、お腹はすこし熱い。小学生から高校生の時までは週の半分くらいそ…

コンビニのバイト

夢でね、バイト中にかずきくんが来たの。コンビニで働いていた昔の恋人が、デートの最中歩きながらそんなふうに話してくれた。 「かずきくんに会えてすごく嬉しかったけど、隣に知らないブサイクな子供が立ってて話しかけづらくて。しかも電気代の支払いとか…

大槻香奈さんの個展「生の断面/死の断片」、そしてけして失われることのない過去

はじめて大槻香奈さんの実物絵にふれて、衝撃を受けました。見てきました、とは言わずに、ふれました、と言わざるをえなかったのにはもちろん理由があります。 はじめに、一般論で恐縮ですが、何か新しいものを受け入れる時には、しばしば時間が必要です。食…