接触

文学、本、映画、絵画の話をしようと思います。あとは日記ですね

2018-01-01から1年間の記事一覧

愚行を犯すという自覚

僕は山口達也を批判する気になれない。だからといってそれを、ツイッターで口にする気にもなれない。 そして、僕はいつだって弱者の味方だなんて、つまらない常識人の嘘をつく気は、まったくない。あまりに俗っぽい動機を告白したところで、さっほく本題に入…

不可能

余るほどお金がたくさんあって、背がすらりと高くて、顔も肌もまるで綺麗で、声には透き通るような凛々しさがあり、疲労の色もまるでない若さだけが、この世界で唯一正しいかのように思えて仕方がない。というまるで19世紀フランス文学の呪いが未だに解けて…

時計屋

遅刻魔の汚名を返上するべく今日こそはと、移動時間を15分ほど多く見積もったまま玄関のドアノブを握る。18時45分に到着するにはあまりにも早く家を出すぎたような気がして、すべての遅刻魔を常習的な遅刻へと駆り立てるあの「不気味さ」に似た、時間通りで…

わかりうるという安心から距離を置くために

「今日の飲み会では自分の話ばっかりしちゃったな、どうして落ち着いて人の話を聞けなかったんだろう」とか「自分の話を理解してもらうためにわざわざ用意したはずの例え話なのに『よくわかった』っていう得意げな聞き手の顔を見ると、なぜかモヤモヤしてし…

帰り道

友達を誘って渋谷で映画を観た。その友達というのはシリア人で、僕はたまたま食事会で彼と知り合ったのだけど、映画の話やらでわりと意気投合したり、言葉を慎重に選びながら考えたことを伝えようとしてくれるようないいやつで、僕はふと思い立ち、一緒に映…